造形の美を担う
2010-09-14


デザインの工程においてモデラーという専門家がいらっしゃって、デザイナーの描いたラインを立体化して下さいます。

私は修業時代、モデラーも経験させて頂きましたが、そこでとても大切な発見をしました。それは優れたモデラーの立体化したものは美しい、ということです。

モデラーさんは、デザイナーのイメージした形を忠実に立体化するのが仕事なのですが、時にデザイナーが思い描いた以上に美しい形を紡ぎ出します。
それは、デザイナーの意図した形を勝手に変更しているのではありません。直線と曲線の曲がる瞬間、面と面の繋がる変化という様なごく僅かなゆらぎを、統一された造形美として定着させて下さるのです。
私はこのモデラーの才を、曲に対する演奏家と同じだと感じています。

今、試作はかなりの部分が自動化されて来ていますが、デザイナーが立体を描いて終わり、というのはやはり画龍点晴を欠く思いがします。
音楽も作曲家がデータ化したものをそのまま自動演奏するのと、優れた演奏家が演奏するのでは大きな差が出るように、優れたモデラーによって立体化される事の価値は大きいでしょう。
[デザイン]
[造形]
[仕組み]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット