マン・レイ展 美しさのあとの切なさ
2010-08-04


先週末、国立新美術館にて「マン・レイ展」を観てきました。
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ファンの方には叱られてしまいますが、マルセル・デュシャンと親交深くポートレイトの名手、というのが私の持ち合わせていた知識でした。
それは間違いではありませんが、もちろんそれだけでは無かったのです。

まず、やはりなんといってもポートレイトの美しさ。マン・レイ自身が焼いたモノクロームプリントのなんと滑らかなこと!
ピカソやキキといった当代の著名人を美しい構図の中におさめながら、ぐっと身近に引き寄せる表情、そして独特の光。

また、表現の探究者としての茶目っ気。
立体や絵画、映画などの多くの作品が残っています。写真においてもソラリゼーションを技法として完成させただけでなく、レイヨグラフと呼んだフォトグラム、レンズにジェルを塗っての撮影、色彩定着などなど、様々な技法を探求していました。
それも研究者として緻密に、というよりも、冒険家のように感性を頼りに偶然を楽しみながら発見して行く、という印象を受けました。

そして恋多き人生。。
愛と成功に恵まれた彼の人生も、全てが思い通りではなかったようです。
それでも晩年の写真は、どれも幸福感を湛えていました。

それなのになぜか私は、とても切ない気持に包まれていました。この切なさは今でもずっと残っています。
そしてまた観たいなぁ、、と思わせるのです。
これこそマン・レイ写真の魅力なのかもしれません。
[アート]
[旅]

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